インターネットができる前の役人の「不用意発言」事件

「若杉発言」事件(1982年)

1982年の春に、いわゆる「若杉発言」なるものが起こり、物議をかもしたことがあります。 1982年3月の米ロスアンゼルス・タイムス紙に、通産省の若杉通商政策局長の談として、「もしも、米国が日本との取引をやめるようなことがあれば、日本はソ連、東欧等共産圏との取引を拡大して、しのがざるを得ないうんぬん」と報道されたのが発端です。

この発言は直ちに、ワシントンポスト、ジャパンタイムス、ルモンド等でも大きく取り上げられ、これを引用する形で日本の新聞も取りあげ、社説にまで論じられました。

日本の新聞も報道

日本の新聞は、外務省首脳の「誤解を招く、不謹慎な発言」という批判の報道が主であり、失言として処理しました。

外務省の二、三の高官に個人的に会って意見を聞いたところ、発言内容のぜひはともかく、これが外務省の高官発言であれば、首を切られるのではないかというものであったといいます。

一方、政府首脳からは特にお叱りはなかったが外人記者の誘導尋問に引っかかったねというコメントがありました。

当時の通産大臣は、笑って、気にするなということだったそうです。

世論の反応は冷静

総じて、日本の世論は、外人記者の誘導に引っかかった失言だと受け止めました。 もしこの事件が、今起きていたら、大きなネット中傷事件に発展していたかも知れません。

三越伊勢丹「内定取り消し」事件(2011年)

三越伊勢丹

一人の男子大学生が、同じ大学に通う学生らが起こした準強姦事件に対して、ツイッターでまるでレイプを容認するような発言をし、大炎上が起こりました。

実名などの個人情報が次々と公開される中で、就職内定先である三越伊勢丹へも怒りの矛先は向き、内定取り消しを求める“電凸(電話突撃)”といわれる電話抗議が過熱します。

学生によるソーシャルメディア使用に潜むリスクを、企業、大学の双方が再認識するきっかけとなった事件です。

立教大の学生がツイッターで暴言

レイプ事件についてつぶやく

ことの発端は、この男子学生とは別の学生が社会人女性を集団レイプしたとして逮捕された事件でした。立教大4年生(25)と友人のアルバイト(25)が2011年1月1日、新宿・歌舞伎町で知り合った女性2人を誘い飲酒。その後、予約を取っていたホテルに行き、泥酔した一人の女性(21)が寝込んだところを男性二人が襲った、というものでした。

そして2月20日。このニュースに関して、当該の男子大学生がツイッターでつぶやきます。

▼男子学生の問題のツイート▼

立教生がレイプねー。別に悪いと思わないね。皆同じようなことしてんじゃん。飲み会で勢いでキスしちゃったーとかと変わんねーよクソが。女がわりー。

アカウント削除に追い込まれる

後の弁解ツイートを見ると、被害者女性が飲み会の後ホテルに同行している点から、果たして凶悪な暴行事件なのか?という疑問を呈したかっただけなのかもしれません。しかし、この書き込みからは「レイプ容認」の意図さえ感じ取れ、140字という制約の中で触れる話題として、明らかにふさわしくありませんでした。

間もなく、このコメントが不快だとしてネットでは大騒動に発展します。男子大学生のツイッターやmixiに批判が殺到し、アカウントを削除せざるを得ない状況に追い込まれたのです。

「俺様系」ツイートに不快感が増長

それまでも、社会に対して自分の思ったままを直球でぶつける「俺様」発言が目立っていた男子学生。実際、問題の発言に寄せられた、まっとうな指摘にさえ「本質をつかめない奴は一生底辺」などと一蹴しています。

▼批判に対する男子学生のツイート▼

ツイッターは言いたいこと言う場所。言うこと気にすんならやめろよ。見たくなきゃフォローしなきゃいいし、関わらなければいい。バカばっかだな。

低いリテラシーを露呈

学内では、自らファッションイベントを開催するなどリーダー的な存在で、人脈も広かったようですが、この発言からは傲慢さとリテラシーの低さがうかがえます。

三越伊勢丹バッシング

炎上は内定企業へも飛び火

アカウントから割り出されたユーザー名からmixiが発見され、まもなく実名と写真、大学・学部・所属サークルなどが公表されます。そしてこの学生は、mixiにおいて、就職内定先の「三越伊勢丹」の名前を堂々と明記していました。

炎上に気づいた男子学生は、ツイッターとmixiのアカウントを削除しますが、後のまつりです。世間は、怒りの矛先を内定先の三越伊勢丹にもぶつけます。問い合わせフォームからのメールと全国の店舗に電話で抗議の連絡をし「内定取り消し」を求めることを呼び掛けたのです。そして、その対応の一部始終が掲示板などで公開されることになります。